ある日、恵は一人の少女と出会った。
少女はリリィと名乗り、穏やかな物腰で恵と話し始める。
「私はリリィ。あなたは?」
「あ、私は……恵といいます」
「そっか。よろしくね、恵ちゃん。恵ちゃんは、ここで何をしてたの?」
「あんまり桜が綺麗だったもので、しばらく見惚れていた所です……えへへ」
「あは、そうなんだ。私もね、ここの景色が大好きなの。私たち、好きなもの一緒だね」
「ええ、そうみたいですね。ふふっ」
「ふふふ、恵ちゃんって礼儀正しいんだ。でも、敬語はやめようよ。友達同志で敬語は変だよ」
「あ……はい、じゃなくて、うん。分かったよ、リリィ……ちゃん」
「うんうん」
………
それから数日の間、恵とリリィは毎日この場所で会うようになっていた。
知り合ってから少しの時間しか経っていないというのに、二人はまるで昔からの親友同士のように打ち解けていった。
「恵ちゃん。そろそろここの桜も散っちゃうね」
「うん、寂しいね…。でも、桜って儚いからこそ綺麗なんだと思うの。
一瞬の間だけ華やかに咲き乱れて、その輝きを終えたら夢幻のように消える……」
「幻想的だね。うん、私もそう思うな。
ねぇ、恵ちゃん。また来年もここで一緒に桜、見たいね」
「うん!約束しよう、リリィちゃん。来年も、ここに二人で一緒にいようね」
「うん、約束……」
***
「それじゃ、行ってきますから留守番よろしくお願いしますね。勇さん、ジョウさん」
「おー、行ってラー。……で、何処いくノ?恵ハ」
「お友達の家だって。
最近、妙に楽しそうだなと思ってたけど、そういう事か」
「ンー?」
「あの子、小さい頃からアカデミアでお父さんの手伝いをしてたんだって。
小学校も満足に行けてなかったみたい。だから、同年代の友達がいなくて寂しかったんじゃないかな。
でも、どうやらその辺りは心配なくなったみたいね」
「フーム。恵、寂しかったのカー。ボク、恵の友達のつもりだったんだけどナ?」
「私たちは友達だけど、それ以上に『仲間』じゃない」
「おお、そっカ!安心しタ!」
***
「いらっしゃい、恵ちゃん」
「リリィちゃんらしい、可愛い部屋だね」
「ふふ、ありがと。今日はパパもママもいないから、のんびりしていってね」
***
数時間後。
「あっ、もうこんな時間!ごめんね、すっかり話し込んじゃって…」
「ううん、恵ちゃんとお話するの、楽しいもの。それより、もう帰っちゃう?」
「う、うん……私ももっとお話していたいけど……」
「ふぅん……ねえ、恵ちゃん。一つお願いがあるんだけど、いいかな?」
「うん、何?」
「キスさせてくれない?」
「キ……リ、リリィちゃん?」
「私、大好きな人にはキスしたくなっちゃうんだ。ね、お願い。一回だけ!」
(ちょ、ちょっとびっくりしたけど、リリィちゃん、外国人だし……きっと、外国じゃスキンシップの一つなんだよね。ほっぺに軽くするぐらい……うん、リリィちゃんなら、いいや……)
「う、うん……いいよ、リリィちゃん」
「ありがとう、恵ちゃん!」
「…むっ!?」
「んちゅ~~~……ぷは。ふふっ、恵ちゃんの涎、甘くて美味しい!」
「なっ……えっ……わっ……」
「ふふふ……恵ちゃん、顔真っ赤だよ?
それじゃ、今日はバイバイ。また今度、ね?」
***
その日から、恵は連日リリィの家に出掛けていった。
いつ行ってもリリィの両親は姿を見せなかったが、頭の中が「友達」との逢瀬でいっぱいになっていた恵に、それを不審に思う余裕は無かった。
「ここん所、恵は毎日リリィって子の家に行ってるみたいね。
この短期間に、めちゃくちゃ仲良くなったのね……」
「ウー、最近恵が遊んでくれないヨー」
***
「いらっしゃい、恵ちゃん。今日もいっぱい仲良ししようね」
「リ、リリィちゃん……私、なんだか身体が熱いよ……」
「大丈夫。すぐに気持ちよくなるよ。さあ、ベッドに上がって……」
「はぁ、はぁ……リリィちゃぁん……」
「ふふふ、髪、束ねない方が可愛いよ、恵ちゃん」
ぺろっ
「ひゃぁぁん!リリィちゃん、駄目、汚いよぉ…!」
「どこも汚くないよ、恵ちゃんの身体だもん。それに恵ちゃんの汗も、しょっぱくて美味しいね」
「で、でも……身体を舐めるなんて……」
「友達同士で身体を舐めあうなんて、当然のことじゃない?」
リリィの言葉が、残響を伴って恵の精神に染み込んでいく。
「当然……なの、かな……」
「そうよ。当たり前の事。
……それとも恵ちゃんは、私の身体舐めるのは嫌?」
淫靡な空気に飲まれかかった恵の精神が、最後の抵抗を試みる。
だが、「拒絶すれば彼女は私の友達でなくなってしまうかもしれない」という無意識の恐怖が、恵の理性を完全に押しのけてしまうのだった。
「嫌じゃないよ……ううん、舐めたい。私、リリィちゃんの身体、舐めたいよ!
リリィちゃんと、もっと仲良くなりたいよ!」
「ふふふっ、ありがとう、恵ちゃん。もっともっと色んな体液を交換すれば、もっともっと友達になれるからね……」
ちゅばっ、ちゅばっ
「あぁぁ……リリィちゃんの大事なところのお汁、とっても美味しいよ……
リリィちゃんの味が私の舌に染み込んでいく感じ……」
「ふふっ、恵ちゃんのアソコも、とっても美味しいよ。
もう私たちは一心同体、ずっと、ずーっと友達でいられるからね……」
***
「恵!その子から離れて!」
「い、勇さん……ジョウさんまで、ど、どうしたんですか……」
「恵、その子、淫怪人ダ!急にせんさーがはんのーしはじめたから、追っかけてきたラ……」
「恵達に出くわしたってわけ。
……さあ、恵。離れてて。今回は、私たちだけでやるから!」
「ふふふ……バレちゃった。もうちょっと遊んでいたかったんだけどな」
「リ、リリィちゃん…!そんな、やっぱり、あなたは……!」
「ふふ……薄々気づいてるんじゃないかと思ってたけど。
どうする、恵ちゃん?私と戦う?」
「そ、それは……」
「私は、恵ちゃんと友達のままでいたいな。
それに恵ちゃん、私がいなくなったら、また一人ぼっちになっちゃうんじゃない?」
「――!」
「はじめて会った時の恵ちゃん、すっごく寂しそうだったよ。
友達がいない孤独の苦しみ、もう二度と味わいたくないんじゃない?」
「黙れ!それ以上、恵を惑わすのは止めろ!」
「恵!ボクたちがいる!恵はひとりぼっちなんかじゃないヨ!」
「ふふ、うるさい外野ね。
ね、お願い、恵ちゃん。私、本当に……
……――さあ、恵ちゃん。どうする?」
「わ、私は……」
1.一人ぼっちじゃなかった
2.一人ぼっちは、いや
1.
「私は……一人ぼっちじゃなかった」
「……恵ちゃん?」
「私には、大切な仲間がいたの!だから……」
「これからも、一人ぼっちになんかならない!超獣天装!!」
「「恵!!」」
「……馬鹿な子。私と友達のままでいれば、あの快楽がいつまでも続いたのに……」
「リリィちゃん!私、あなたと戦いたくないよ!お願い、このままあなたの居場所に帰って!」
「……無理よ。私の使命はエンジェルドルフィン、あなたをダーククロスに招き入れる事だもの。
任務に失敗したまま帰るわけにはいかないの……。覚悟を決めてね、エンジェルドルフィン」
「……勇さん、ジョウさん……お願いです、今日は、私に任せて下さい…!」
「恵…」
「…分かった、恵、頑張って」
二人は、無言のまま激しい戦闘を繰り広げる。
やがて、一瞬の隙が生まれた。
「ライブラスター、フルチャージ……!」
勝利を確信した恵の頬を、一条の涙が伝った。
「ドルフィン、パニッシャー……!!」
「ぐ、ああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「……恵ちゃん、本当に優しいんだね。
その涙、私のために流してくれてるんだ……分かるよ、私たち、友達だもんね。
……あなたとは、私が淫怪人になる前に、知り合いたかった……な……」
「……リリィちゃん……」
***
次の日――
「おはようございます、勇さん、ジョウさん!」
「あ、おはよう、恵。……あの、さ」
「さあ、朝ごはんの用意は出来てますよ!起きて下さいジョウさん!今日はアルバイトの日でしょう?」
「オー、そうだっタ!ゴハン、ゴハン!行くヨ、勇ー!」
「寝起き良すぎだっての!こらジョウ、引っ張らないでー!」
(……リリィちゃん、不思議だね。
私、あの時の約束、いつか必ず果たせるような気がしてるんだ。
いつか、世界が平和になったら……また友達になれるよね、リリィちゃん……)
2.BADパターン
「一人ぼっちになるのは、もういや……!」
「ふふっ、良かった。
大丈夫、私はずっと恵ちゃんの傍にいるからね」
「恵!騙されないで!私たちは仲間じゃない!」
「そうだヨ、恵!戻ってオイデ!」
「私の友達はリリィちゃんだけなの!私は、リリィちゃんと一緒にいたい!」
「私もだよ、恵ちゃん。さあ、一緒に……」
「あ、ああ……」
「一緒に、ダーククロスに行こ?ダーククロスには、私の友達がいっぱいいるの。
きっと恵ちゃんも大勢の友達ができるわ。さあ……」
「「恵ぃぃぃぃぃぃ!!!」」
眩い光が二人の姿を包む。
そして、光が消えた後に立っていたのは――
「あぁ……なんだか、とってもいい気分……
私、リリィちゃんと一緒の存在になれたんだね……」
「そうよ、メグミちゃん。私たちは淫水魔。母なる恵みで、性なる世界をつくる者――」
***
ちゅばっ、ちゅばっ、ちゅぶっ、ちゅぶっ
「ウ、ウウ、ウゥ…ッ」
「ウーーッ、ウゥゥゥ!」
拘束された勇とジョウ。
胸からは母乳が滴り、汗や愛液、涎、身体中の体液が止め処もなく溢れている。
恵の変貌に動揺し、敗北した二人は、体液を過剰排出するように身体改造を施され、淫水魔軍の居城に栄養補給用家畜として飼われていた。
そんな二人の股間にむしゃぶりつき、愛液を啜る淫水魔が二匹――
「うふふ……ジョウさんのお汁、とってもしょっぱくて濃い味なんですね。
みんなに喜んでもらえた理由がわかりました」
「ね?私の言った通り、淫水魔の皆への良いお土産になったでしょ?
皆、喜んで恵ちゃんと友達になってくれたよね?」
「うん!もう私は一人ぼっちじゃないんだ。
リリィちゃんもいるし、淫水魔の皆がいてくれる」
「ふふ、世界がダークサタン様のものになれば、もっともっと友達が増やせるかもしれないよ?」
「うん、私頑張るよ!友達のために、ダーククロスのために、ダークサタン様のために!」